ハッピーシュガーライフの最終巻よみました。
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色々あったけど、本当に最後、ラストだけ。
どんな終わりだっけ?てならないように。




親友を殺して、家にあった死体も含めて
叔母に放火犯になってもらい
家を焼いて証拠隠滅をし海外逃亡することにした松坂さとう。
親友の焼死体を自分に見立てて、逃走の時間稼ぎにして
海外へ、しおちゃんと2人逃げようと。
自分の犯罪も気持ち悪い人間関係もくだらない世界も汚い大人たちも全部ぜんぶ捨て置いて、
しおちゃんと2人ーーーー。

最後まで邪魔をしてくる変態男あさひを叔母が気持ち悪い愛で犯して、
しおちゃんの兄はそんな役立たずのあさひを罵り捨て切り、単身捨て身でさとうの部屋へ突入。
その部屋はガソリンが撒かれ、一室には自分によくしてくれた さとうの友人の死体。

その時、誓いの指輪を忘れて戻ってきたさとうとしおがマンションエレベーターで鉢合わせしてしまい、しおを奪い合い激しい暴力で互いをねじ伏せあう。

そんな中、放火の炎がマンション上階を覆い逃げ場を失いながらの攻防戦ーーー

兄は、母がしおを捨てたのは止むを得ず
DV父は母の手で毒殺され、もう一度
母・兄・しおの3人家族やり直せると説得。

でも、
何があっても、何を汚し奪って騙して犯して殺そうとも、いつでも裏切らず愛の誓いを守ってくれたのは、人生でさとちゃんだけ。

そのただ一つの思いで兄に笑顔で別れを告げ、
炎から逃げ、さとうとしおは屋上へ。
もう海外へも燃え盛るマンションの外へも逃げられないことを悟って、2人で愛を反芻する

そして、しおがいう。
一緒に死のう さとちゃん
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ふたりの幸せの結論は、ずっと一緒にいること。
ふたり一緒ならそれが一番幸せ。
「死が2人を分かつまで…」「分かつかな?」
死ぬこと如きがわたしたちを引き裂けるほど、わたしたちは揺らいでなんていない。

屋上から小さな影がふたつ、空へと落ちていく

落ちるその一瞬の間に、愛はより確信へ。
このぬくもりは確かな誓いと絆…
そして、さとうはもう一つ先の愛に気付いてしまう
「しおちゃん、ごめんね…ありがとう」
自分の身を捩り、しおを強く抱きしめる。
もう地面はすぐそこ。
叩きつけられて、…おわる。



ピッピッピッ

目を覚ますとしおは、病院にはひとり。
私だけが生き残ってしまった。
だけど、この命は誓い合ったさとうと共にある。
もう、揺らがない。
ずっと一緒って約束した。
なぜ最後に私を庇ってさとちゃんだけが死んでしまったのか、"わからない"けど、最初から最後まで私達の愛だけが本物だから
これから先もずっと、さとちゃんと一緒。


面会に来た兄が「これからは俺が命に代えても守る」とかいうけれど

「私そういうの、もうやめたから」

だって、ずっとずっと私はさとちゃんだけ。
だって、守る約束をしてくれるのはさとちゃんだけ。
私とずっと一緒に"生きて"くれるのはさとちゃんだけ。
だから、私もさとちゃんと一緒に生きるよ。


それから長い月日が流れて、
彼女はまたあのマンション、あの部屋、あの"お城"に、戻ってきたーーー。








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なんて壮大で素晴らしく、美しく狂った愛の物語がーーー!!!
さとちゃんとしおの愛の心境が美しく歪んで成長していく描写が素晴らしい…
2人の愛のためなら、
騙しても犯しても奪っても殺しても、いい。
一緒にいることが最重要な愛だけど、その先に「あなたは生きていてほしい」という愛に気付いて咄嗟にしおを生かしてしまうさとちゃんが絶妙!!

物語的には2人で「一緒に死ぬ」という共依存を選ぶと思っていたのに
最後の最後に自立した愛し方(当たり前の愛・相手の幸せを望むこと)を獲得したことが
歪んだ愛の闇をより色濃くした感があって芸術的だった…

生還したあと、
しおちゃんが「上手に歪んだ」まま、
より強固に甘い闇を深めていく決意が素晴らしい。
心中自殺直前の「死が2人を分かつまで」「分かつかな?」のフラグを上手に回収し、
「死すらも2人を分かてない」ことを証明してみせた執拗な愛と、そのお膳立てがすごい。

そして、さとちゃんとの愛をなんら疑うことなく抱きしめて生きていき
成長したしおちゃんが自らの意思で再び、あのマンションの一室に帰着する狂おしさ。

この作品は、このあの絵と雰囲気だからこそ成り立つ
狂った愛が、清々しく気持ち悪くて、本当に芸術的だ。